マーラー「大地の歌」と唐詩
オーストリアの作曲家グスタフ・マーラー(1860-1911)の晩年の交響曲「大地の歌」(1908)は悠久な自然への讃歌と厭世観に満ちている。李白などの中国の詩が歌詞につかわれている。マーラーはハンス・ベートゲ編訳による詩集「中国の笛」から詩を採用した。しかしベートゲは中国語を解さず、忠実な訳詩でないため原詩の特定に困難がともなったが、近年の研究で7編のうち6編は確定している。第1楽章「大地の悲嘆についての酒宴の歌」の原詩は李白「悲歌行」、第2楽章「秋に寂しき者」は銭起「古(いにしえ)の秋の長さに效(なら)う」は銭起「效古秋夜長」、第3楽章「青春について」は李白「陶家の亭子に宴す」、第4楽章「美について」は李白「採蓮曲」、第5章「春に酔える者」は李白「春日酔起言志」、第6章「告別」は孟浩然「宿業師山房期丁大不至」と王維「送別」。ただし第2楽章については銭起については疑問視され、張籍もしくは張継とする説もある。最初にフランス語に訳した、ユディット・ゴーティエの訳詩がかなり自由な改変があったためである。(Gustav Mahler)
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