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2012年11月 6日 (火)

おうい雲よ

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    山村暮鳥(1884-1924)は、牧師をしながら詩や短歌を作り、自由詩社に参加。大正2年処女詩集「三人の処女」を出版。大正4年「聖三稜玻璃」を出す。大正7年「風は草木にささやいた」は発想・表現ともに明朗・平明になり、これによって民衆詩派の詩人といわれた。牧師をやめ人生と自然に順応する生活の中から「雲」(没後の大正14年に刊行)の詩風が生まれた。

       *

               雲

    丘の上で

    としよりと

    こどもと

    うつとりと雲を

    ながめている

        *

             おなじく

  おうい雲よ

  ゆうゆうと

  馬鹿にのんきさうじゃないか

  どこまでゆくんだ

  ずつと磐木平の方までゆくんか

                  *

    風景  純銀もざいく

  いちめんのなのはな

  いちめんのなのはな

  いちめんのなのはな

  いちめんのなのはな

  いちめんのなのはな

  いちめんのなのはな

  かすかなるむぎぶえ

  いちめんのなのはな。

       ・

  いちめんのなのはな

  いちめんのなのはな

  いちめんのなのはな

  いちめんのなのはな

  いちめんのなのはな

  いちめんのなのはな

  ひばりのおしゃべり

  いちめんのなのはな。

     ・

  いちめんのなのはな

  いちめんのなのはな

  いちめんのなのはな   

  いちめんのなのはな

  いちめんのなのはな

  いちめんのなのはな

  やめるはひるのつき

  いちめんのなのはな。   

                 *

    友におくる詩

何も言うことはありません

よく生きなさい

つよく

つよく

そして働くことです

石工が石を割るように

左官が壁をぬるように

それでいい

手や足を動かしなさい

しっかりと働きなさい

それが人間の美しさです

仕事はあなたにあなたの欲する一切のものを与えましょう

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