おうい雲よ
山村暮鳥(1884-1924)は、牧師をしながら詩や短歌を作り、自由詩社に参加。大正2年処女詩集「三人の処女」を出版。大正4年「聖三稜玻璃」を出す。大正7年「風は草木にささやいた」は発想・表現ともに明朗・平明になり、これによって民衆詩派の詩人といわれた。牧師をやめ人生と自然に順応する生活の中から「雲」(没後の大正14年に刊行)の詩風が生まれた。
*
雲
丘の上で
としよりと
こどもと
うつとりと雲を
ながめている
*
おなじく
おうい雲よ
ゆうゆうと
馬鹿にのんきさうじゃないか
どこまでゆくんだ
ずつと磐木平の方までゆくんか
*
風景 純銀もざいく
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
かすかなるむぎぶえ
いちめんのなのはな。
・
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
ひばりのおしゃべり
いちめんのなのはな。
・
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
やめるはひるのつき
いちめんのなのはな。
*
友におくる詩
何も言うことはありません
よく生きなさい
つよく
つよく
そして働くことです
石工が石を割るように
左官が壁をぬるように
それでいい
手や足を動かしなさい
しっかりと働きなさい
それが人間の美しさです
仕事はあなたにあなたの欲する一切のものを与えましょう
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