秋の涙
招かれて
師は立ち給ふ
お話を聴く
影と影とは
啜りなく
日本アルプスすべりたる
光の海に師の影ゆらぎて
たそがれの心にしみる
秋の涙…
(三石勝五郎『散華楽』より「秋の涙」)
三石勝五郎(1888-1976)は長野県青沼村に生まれ、大正2年、早稲田大学英文学科を卒業。釜山日報の記者を務めた。京都の一燈園で托鉢修行のあと、放浪する。詩にある師というのは、一燈園主の西田天香のことである。
三石の人となりを知る有名なエピソードがある。早稲田大学を主席で卒業し、答辞の中で、「どんなに勉強した人でも、カラスのカアカアと鳴く、声の意味は分からない」と述べ、当時の早稲田生の度肝を抜いた逸話が残されている。著書に「散華楽」(大正12年)、「火山灰」(大正13年)、「佐久の歌」(昭和17年)
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