ルソーの言葉
「人間は2度生まれる」「人には2回の誕生がある。一つは、世に現れた誕生、一つは生活に入る誕生である」(エミール) ルソーによると、人間とともに生まれ、人間の生きている間、けっして彼を去らない唯一の情欲は自愛心である。したがって、子供はまず自分自身を愛することしか知らない。そしてその結果として、彼は自分の存在に役だつものを愛するようになる。たとえば、子供はかならずまず乳母を愛する。しかし、それは自愛から派生するもので、対象への愛とは関係がない。少年時代の他者との関係は、すべて彼と物との関係で、少年が自己を知るのは物質的な生活を通してのみである。
しかし、人間は孤立した存在ではないし、もともと、孤独にたえるほど強くはないから、欲望の発達が力の発達を追いこす頃になると、自分と同胞との関係を意識しなければならなくなる。その時から、人間ははじめて道徳生活に入り、男は男となり、女は女となるのだ。だから、「性に関係のないすべてにおいて、女は男だ」ということになる。
このほかルソーには名言が多いが出典のわからない言葉もある。むかし草柳大蔵が「日本の名門高校ベスト100公立高校編」の巻頭で次のような言葉を引用している。
「今では失われて聞くことのできない言葉でも必ず生きているものです。それに気がつけば現代の問題の解決の緒口になるのです」
この言葉の出処をあれこれ調べてみたがわからなかった。含蓄ある名言だが、草柳大蔵の創作かもしれない。(Jean Jacques Rousseau)
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