マルセル・シュウォッブ
マルセル・シュウォッブ(1867-1905)はパリ近郊シャビルに生まれ、9歳のとき家族と共にナントに移る。ユダヤ家系の裕福な家庭に育つ。学士院図書館副主事であった博学な伯父の許で養育された。ルイ・ル・グラン中学では、レオン・ドーデ、クローデルらの級友に恵まれた彼は、夙に教養の薫り高い環境の裡に成長した。ショーペンハウェルをはじめあらゆる哲学、また、ギリシア・ラテン文学、中世文学、とくに英米文学など、古近の文学を渉猟し尽くす。中世コキヤール党の隠語およびフランソワ・ヴィヨンのすぐれた研究者であり、他方シェイクスピアの翻案者、デフォーの翻訳者、またキーツ、スティーブンソン、メレディス、エドガー・ポオのよき理解者でもあった。小説家としての彼は、ことに短編小説に秀で、実生活の俗悪にあくまで抗しつつ、異常な人物・事件・滑稽な、もしくは悲劇的な幻想を追い求め、これをよく冷徹巧緻の文体にせしめた。晩年病を得て後は、パレ・ロワイヤルの住居に引籠ったが、彼の魅力ある会話が、アナトール・フランス、ロベール・ド・モンテスキュー、レミ・ド・グウルモンらの友人をそのサロンにひきつけた。代表作に「少年十字軍」「黄金仮面の王」「フランス語の隠語についての研究」など。江戸川乱歩はシュウォッブの作品を愛読していたことで知られる。(Marccel Schwob)
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