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2012年9月24日 (月)

勝利の女神ニケ

Img92   ルーブル美術館のダリュの階段踊り場には「サモトラケのニケ」といわれる翼を広げた女神像が展示されている。この有翼の勝利の女神像は前190年、ロードス島がセレウコス朝シリアのアンティオクス3世ギリシアへの戦勝を記念して、エーゲ海の北端のサモトラケ島の神殿近くに建てたという。最初の発掘は1863年フランスのシャルル・シャンポアソーがサモトラケ島のカビリ神殿の小室で数多くの断片で発見した。それから16年後、同地の近くでこの像が立っていた船首の部分が発見された。さらに1950年の同神殿址の再発掘の際、右掌と右薬指の断片が発見されたため、ウィーン美術館史博物館に保管されていた指の断片がこの像の一部であることが明らかとなった。女神は船の先端に立って勝利のトランペットを吹き鳴らしている。

    ニケはティターン神族の男神パラスと冥府の河の女神ステュクスとの間に生まれた4人の子(クラトス、ビア、ゼロス、ニケ)の1人。ニケは父や同族を捨てゼウス率いるオリュンポス陣営についた。ニケはアテナと親しく結びつき、アテナの随神と見なされるようになった。パルテノン神殿内の本尊アテナ・パルテノス像で、右手にニケの小像が載っていることはよく知られている。

   話は変わるが、映画「パリの恋人」(1957)でファションモデル役のオードリー・ヘプバーンが両手を広げて階段を降りるのも、「タイタニック」(1997)でケイト・ウィンスレットが船首で両手を広げるポーズも女神ニケを真似たものである。そして「冬のソナタ」(2002)でチェ・ジウが南怡島のデートで自転車に乗りながら両手を広げるシーンも「タイタニック」の影響があると思われる。

    実際の女神ニケの完全復元像を見たことはないが、一説によれば付根の状態から頭部は左にむけられ、右腕をあげ左腕をさげていた状態ではないかとする説が有力であり、おそらく勝利のラッパを吹奏していたのではないかといわれる。女優さんが真似たポーズとは大きく異なっているようだ。思うに、サモトラケのニケは完全な形体を止めていないがために、みる者をさまざまな夢想へと誘い、ロダンが言うように「美よりもさらに美しいもの。それは美の廃墟である」との思念が二つの大戦を経てヨーロッパ人に強く根をおろした。「自由」や「勝利」を想起させる女神ニケは、今日、オリンピックのメダルやスポーツブランド・ナイキの名の由来にもなって人気のある女神である。(Victoire de Samothrace)

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