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2012年9月 3日 (月)

志賀直哉「正義派」の今日的テーマ

    志賀直哉「正義派」は明治45年1月の作品であり、教科書にも取り上げられ、大勢が一度は読んだことがあるだろうが、その先見性に注目したい。粗筋は5歳の女児が電車に轢かれて即死した。現場で作業していた3人の工夫が目撃していた。運転手は「女の子が車の前に突然に飛び込んできて、ブレーキをかけたが間に合わなかった」と不可抗力で事故は回避できないものと主張した。だが工夫らは「最初は車と女の子との間にはカナリの距離があり、すぐにブレーキを掛けさえすれば、事故は起きなかった」と証言した。工夫らは真実を語って、初めはスッキリしたが、会社の監督から「余計なことをしゃべるな」と言われたことを思い出すと、仕事を失うのではないかと、不安になり、ジレンマに陥る。牛肉屋で激しく酔っ払った後で、3人はもう一度事故現場へ向うが、結局降りずに事件のことは忘れようとする。今日であれば、運転手は、起こりうる状況を予見しながらそれを回避するように運転することが求められ、小説「正義派」の運転手はおそらく過失が問われるであろう。この小説のテーマには普遍性があり、交通事故だけにととまらず、会社が違法行為をした場合、社員が告発できるか、とか、学校内でイジメがあったとき、組織の都合の良いように隠蔽せず、見て見ぬふりをせずに真実を伝えることができるかという、現代的な課題にも直結するように感じられる。

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