宮沢賢治の信仰心
宮沢賢治の一家の宗教は浄土真宗で、両親もかなり信仰の篤い人たちだった。母イチは賢治を寝かしつけるときにも、人は何のために生まれて来たか、世のためになるようにと語りきかせていた。賢治の幼い心に、母の慈悲深い心が伝わっていた。少年時代の賢治は、父親から今にお前は何になると聞かれた時に、「むやみにえらくならなくてもいい」と言った。そんな答え方では満足しない父が一層強くたずねると、「寒いときには鍛冶屋になればいいし、暑いときには馬車屋の別当になればいい」と言ったという。
賢治は大正3年9月、18歳のとき「漢和対照妙法蓮華経」を読み、感動し、体のふるえを禁じ得なかったという。浄土真宗を信仰する父・政次郎と、法華経を読んで以来日蓮宗を信ずる賢治とは争ったが、賢治は生涯、法華経の精神をもって生きた。
« 恋は危険なほど燃え上がる | トップページ | パリが教えてくれること »
「日本文学」カテゴリの記事
- 畑正憲と大江健三郎(2023.04.07)
- 青々忌(2024.01.09)
- 地味にスゴイ、室生犀星(2022.12.29)
- 旅途(2023.02.02)
- 太宰治の名言(2022.09.05)
コメント