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2012年8月15日 (水)

トカトントンが聞えてくる

    太宰治の「トカトントン」を読む。「拝啓、一つだけ教えて下さい。困まっているのです。私はことし26歳です」という手紙をある作家がもらった。小説はその青年の手紙の告白形式で書かれている。トカトントンという金槌の音が聞える(幻聴)というのである。「新聞ひろげて、トカトントン。小説を読もうとしてトカトントン。晩ごはんの時間お酒を飲んで、トカトントン。も少し飲んでみようかと思って、トカトントン。もう気が狂ってしまっているのではなかろうかと思って、トカトントン。自殺を考え、トカトントン」といった調子。なにやら酒、煙草、薬物、カルモチンなどの影響ではないかと疑いたくなる作品ではある。もちろん小説中には恋の話やら戦後風俗が巧みに取り入れられている。奇妙な小説だが実に味がある。戦後という特異な時代に困惑しながら生きていこうとする青年を太宰流に道化というか、あまり深刻にならないように、でも重要なテーマが盛り込まれている。最後にこの奇妙な手紙を受け取った作家の返答があるがこれがまた謎めいている。

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