気になることば「充電期間」
朝ドラ「梅ちゃん先生」梅子の叔父(鶴見辰吾)は昼間から仕事もしないで酒を飲んでいる。「仕事はしないの?」と聞かれ、「充電期間さ」と答える。昭和30年頃「充電期間」「充電中」という言葉はまだ使用されていない。「充電期間」が使われるようになったのはいつ頃からだろうか。
宮本百合子が巣鴨拘置所にいる宮本顕治に宛てた手紙(昭和18年)に「きのうの夜から、私の心も体も充電されたようになっていて、それはとても自分一人で沈黙の中に消しきることが出来ません」とある。エネルギーを蓄えることを比喩的に「充電」と表現しためずらしい使用例であるが、「充電」を「休養し、将来に備えて活力を蓄える」という意味が一般に広まったのはずっと後のことで、ドラマの背景である昭和30年代にはまだみられない。充電式シェーバーが普及するのは昭和40年代以降であろう。「活力を充電するリフレッシュ健康法」植田理彦・岩崎輝雄共著、西東社、1982年刊行。1980年代には「充電期間」「充電中」という言葉が盛んに使われている。(ことばの疑問)
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充電:昭和初期でも、ラジオを聞いたり、蓄音機を回したりするのに蓄電池を使いましたが、昼間に電灯線から蓄電するのを充電と言いました。
投稿: | 2019年6月 7日 (金) 10時06分