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2012年7月27日 (金)

ヴィクトリア時代のイギリス

Photo     ヴィクトリア女王(在位1837~1901年)は、優れた芸術・文学に対する審美眼はあまりなかったといわれる。換言すれば貴族趣味的な教養を持たなかった。しかしながら、芸術におけるラファエル前派に代表される貴族趣味と彼女自身の実利的かつ道徳的傾向は、どのように関連するのだろうか。

   女王自身はメロドラマを好み、小説はいかに見事に描かれていても、日常的における道徳の実践の障害になるとしか考えなかった。また女王は中産階級の思想の代弁者と考えられている。産業革命後のイギリスでは、労働が最高の美徳として賛美されていた。ビクトリア朝では、「労働は祈りである」というカーライルの勤勉哲学と、ダーウィンの進化論が思想界を席巻していた。民主主義の進展も、彼女に負うところが多い。しかし女王は決して君主制を否定することはなかった。まさに妥協と中庸の政治家である。そしてこの女王の保守的体質が、当時のイギリスの社会を反映している。「ヴィクトリア時代の上品ぶり」という固定表現がある。女王が率先して実行した、一見道徳堅固の生活を風刺した言葉である。かつて臣下のひとりが卑猥な言葉を発したとき、たまたま居合わせた女王は憤然として「私は面白くありません」という捨てぜりふを残して席を立った、という挿話がある。

   ヴィクトリア時代の政治は、イギリスの民主主義の基礎が固まった時代である。自由党が保守党より優勢となり、中産階級の子弟も機会があれば高等教育を受けて、貴族と拮抗することができた。トップハットをかぶって身だしなみよくする英国紳士のイメージはこの時代につくられた。その醇風美俗の典範はヴィクトリア女王の日常生活であった。(Queen Victoria)

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