世界文学の美しいヒロイン
門倉有希の「ノラ」(1998年)という歌を聞くと、イプセンの「人形の家」を連想するのは私だけなのだろうか。歌謡曲「ノラ」は木下結子(1989年)のカヴァ曲だそうだ。歌詞を注意して聞くとイプセンとは直接関係ないようにも思える。もしかしたら曲の感じが弘田三枝子の「人形の家」に近いので、「ノラ」としたのかもしれない。完全なイメージの世界なのである。高校生のときロマン・ロランの「魅せられたる魂」(大野俊一訳)を読んだことがある。ヒロインのアネットは「美人というのではないが、姿がよくて、ふさふさとした栗色の髪、あさぐろいブロンド色の頚、花のような眼をして」と描写してある。「花のような眼」とはどんなのか??わからないが、フランス女性をみたことがないのでイメージできないが、当時人気のあったミレーヌ・ドモンジョを想像して読んだおぼえがある。トマス・ハーディーの「テス」が映画化されるというので見たが、田舎の娘にしてはナスターシャ・キンスキーが美しすぎると思ったことがある。ダンテの神曲のベアトリーチェ、ハムレットのオフェリア、ファウストのマルガリータ、椿姫のマルグリット、ボヴァリー夫人、戦争と平和のナターシャ、狭き門のアリサ、文学全集の中の挿絵をイメージするのが一番のようだ。だがベアトリーチェ(1266-1290)だけは実在の人物である。彼女は有力な銀行家の御曹司と結婚したが、24歳で没した。(Nora,Beatrice)
« コモド島 | トップページ | 岡本玲はドコモかauか »
「世界文学」カテゴリの記事
- 繃帯を巻いたアポリネール(2023.04.09)
- アレオパジティカ(2023.02.09)
- ワシリ―・アクショーノフ(2023.02.05)
- 青ひげ物語(2023.02.04)
- マーティン・マルプレレット論争(2018.11.02)
コメント