(ご注意)本記事は「ケペルの架空対談」第3回。ケペルが往年のアイドル女優に面会するという新企画の架空記事です。
1968年、朱里エイコがパンチのきいた声で「がんばれアニマル・ワン。メキシコめざして」と歌っていた年、ケペルにとって2人のナターシャがいた。ひとりは、メキシコ五輪の女子体操の名花ナタリア・クチンスカヤ。当時、ソ連のプラハ侵攻の直後であったため、世界の同情はベラ・チャフラフスカに集まった。しかしケペルの視線は19歳のクチンスカヤの若々しい肢体に集中していた。判定においても彼女に不利な状況であっかが、笑顔を絶やさず可愛らしかった。まさしく、彼女こそ「戦争と平和」のナターシャであった。
その2年前、ソ連は国家的事業で「戦争と平和」を制作していた。完成までに6年を費やした、ヒロインのリュドミラ・サベーリエワに会いにケペルはモスクワへ行った。
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ケペル「こんにちわ。戦争と平和は本当に大作ですね。ナターシャ役はどのようにして決ったのですか」
リュドミラ「子どもの頃からバレエの学校へ行ってプリマになることが夢だっんです。そのころセルゲイ・ボンダルチュク監督は超大作の映画に取り組んでいましたが、ナターシャ役が未定で1年が過ぎていました。そこで文化省のお声がかりで、コンテストにでることになって、選ばれてしまいました」
ケペル「撮影にはどれくらいかかりましたか」
リュドミラ「原作では17歳から21歳までですが、私もナターシャの年齢とほぼ同じに少女から女性へと成長していくように撮影しました。」
ケペル「これからの夢は何ですか」
リュドミラ「もうプリマへの夢は諦めました。ナターシャの役が大きすぎたのでなかなか映画出演も決らなかったのですが、最近、新作を撮っています」
ケペル「何という映画ですか」
リュドミラ「ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの映画です」
ケペル「最近結婚されたそうですね」
リュドミラ「ええ、アレクサンドル・ズブルーイェフと結婚しました。娘が生まれました」
可愛い赤ちゃんを抱いていた。
ケペル「名前はなんというの?}
リュドミラ「ナターシャです」
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旧ソ連が制作した超大作「戦争と平和」のヒロイン女優リュドミラ・サベーリエワは1942年1月24日生まれ。現在66歳になっている。澄んだ瞳は北国の湖、透明な肌は純白の雪。ソビエト映画界が世界に誇る花リュドミラ・サベーリエワ、いまごろどうしているだろう。
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