文士と漫才師
昭和43年ころ、漫才コンビてんやわんやが鎌倉の獅子文六邸を訪れた。ひどく恐縮している様子で、額から汗を流し、お辞儀ばかりしている。もちろん初対面だ。獅子文六が何の用事できたのかとたずねたら、芸名に獅子だの、てんやわんやだのを、無断で使っているのを、詫びにきたらしい。彼らが漫才コンビを結成したのは昭和27年頃であるから、今頃になって、何で誤りに来たのか、よくわからなかったが、多分、誰かに著作権侵害のおそれがあると脅かされて、慌ててやってきたのだろう。背の高いほうの獅子てんや(本名:佐々木久雄)が南伊予の出身で、そこを舞台にして「てんやわんや」を芸名にしたのだという。ともかく著作権にはまだ寛容な時代だったので、無断借用の件はお許しいただけたようだ。(獅子文六「てんや君とわんや君」オール読み物 昭和44年11月号)
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