秋山真之と津田三蔵
琵琶湖をのぞむ高台に大津市歴史博物館(大津市御陵町2番2号)がある。来館者も少なくひっそりとしている。ここの目玉は大津絵でも近江八景でもなく、津田三蔵の書簡かもしれない。NHKドラマ「坂の上の雲」で津田三蔵がロシア皇太子の頭部を斬りつけたシーンがあった。ドラマでも津田の動機についてはふれていない。その解明の手がかりとなる津田の書簡76通が保管されている。上野の津藩士の子であった津田には士族としての誇りがあった。そして西南戦争に従軍し、勲7等を授与されるほどの活躍をみせた。ロシアの一行が西南戦争記念碑に敬礼せずに通過したことに腹を立てたともいわれるが、動機は今となっては分からない。津田三蔵もまた復古と変革の時代に生きた秋山真之と同時代の青年だった。児島惟謙の名判決により、無期懲役となったが、同年に獄死しているのも不可解なことである。
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