阿部みどり女の俳句
阿部みどり女(1886-1980)。北海道長官・永山武四郎(1837-1904)の娘。札幌市に生まれる。結核で療養中に俳句をはじめ高浜虚子に師事する。昭和53年「月下美人」で蛇笏賞。
重陽の夕焼けに逢ふ幾たりか
六軒の檀家持つ寺柿を干す
山清水落葉の上を流れけり
雑用の中に梅酒を作りけり
北上の空に必死の冬の蝶
大空に一枚白く凍てにけり
春水を押しくぼまして風が吹く
紫苑ゆらす風青空になかりけり
うららかや空より青き流れあり
蕃山へ登る口あり冬の寺
蕃山は仙台市にある標高356mの1時間くらいで登頂できる山である。阿部は長く仙台で暮らした。女性が詠む俳句を「台所俳句」と名づけたのは虚子だが、虚子は女流俳人を多く育てた。
« 象と盛り場 | トップページ | ジョージ・サンダース »
コメント