成功した命名、失敗した命名
「進化する端末ガラパゴス」昨年シャープはアメリカのアップルiPad(アイパッド)に対抗する日本独自の電子書籍端末を発売した。芥川賞作家・平野啓一郎を担ぎ出し、初の恋愛小説「かたちだけの愛」をガラパゴス向け新刊と紙の本と同時発売するという話題も注目をあびた。ところが販売は不振をきわめ、昨年9月末で販売を中止した。ガラパゴスは進化せず絶滅した。機器の性能はわからないが、大胆なネーミングにも問題があった。聴く人に心地よい響きを与えないことが最大の欠点だろう。
1989年、山陽相銀が「トマト銀行」と行名変更した。その斬新なネーミングが話題となった。ネーミングは大事だ。HALという社名のコンピーター関連企業は多い。映画「2001年宇宙の旅」の人工知能を備えた架空のスーパーコンピーターに因むものだが、IBMの先を行きたいという意味を込めて、H・A・Lの名がつけられたジョークである。
むかし「パンビタン」という薬があった。ラジオから流れる雪村いずみの可愛い声。「♪パンパンパンビのパンビタン タンタンタンととんできた」。パピプペポの破裂音は心地よい響きをもっている。「♪パンシロンでパンパンパン」「風邪にパブロン」「ポポンS」「ペプシ」「リポビタンD」
バビブベボも力強い響きがある。「男の髪にバイタリス」「頭痛にバファリン」「バルサン」「ビオフェルミン」「風邪にベンザ」そしてドリフの「♪バババ・バンバンバン ああビバノノ」
いかにネーミングが大事かわかるであろう。ヒット商品のネーミングには、意味も重要。大塚食品の「ボンカレー」とハウス食品の「ククレカレー」。ボンとはフランス語で「おいしい」の意味。ククレはクックレス、つまり「温めるだけ」という特徴を表している。「ガラパゴス」で何を表現したかったのだろうか。銀行名で「さわやか」とか「幸福」とかあるとかえって預金者は胡散臭い印象をうける。
「なでしこジャパン」が「ヤタガールズ」だったら、「ピンクレディー」が「ちゃっきり娘」だったら、成功したであろうか。花の名前にもある。かって「アメリカヤマボウシ」と名乗っていたが、「ハナミズキ」と改名すると忽ち全国的に広がり始めた。
芸名なども気になる。演歌の「大和さくら」は誇大な芸名がマイナスだった。女性4人のアイドルグループ「メロン記念日」は10年間の活動をもって解散した。チームワークもよかったが、ハロプロ全盛時にもかかわらず一発ヒット曲がなかった。「サラダ記念日」を思わせるグループ名が損をした。同じくつんくが命名した「紅屋おかめ」も可哀そうである。高速増殖炉「もんじゅ」や「ふげん」も脱原発の風潮で仏教界では物議をかもしている。菩薩の大切な名前をみだりに使うべきではなく、許される名前ではなかった、と後悔しきりである。
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つんくがプロデュースした「泣くなオカメちゃん」を歌っているのは紅屋おかめではなく、カレンですよ。
投稿: | 2011年10月30日 (日) 23時42分