岸田劉生と後期印象派の画家たち
2年前、損保ジャパン東郷青児美術館で「没後80年劉生 肖像画をこえて」展が開催されていた。岸田劉生(1891-1929)の肖像画を中心としたものであるが、ファン・ゴッホの「ひまわり」も展示されていた。ゴッホから影響を受けた日本の芸術家は多い。東郷青児をはじめ、中川一政、熊谷守一、棟方志功。劉生がゴッホを知ったのは20歳のときで、「白樺」(明治44年3月号)の複製画をみてからである。翌年の1912年4月の初めての個展では、ゴッホの影響が強すぎると批判されたとある。だが、その後の劉生はデューラーやルオーの影響は顕著に見られるが、ゴッホからの影響は具体的にどのような点に見られるのかは明らかではない。劉生30歳のとき初めて実物のゴッホをみた。実業家の山本顧彌太がスイスから購入した「5本のひまわり」(1888年、作品番号F459)で真贋のはっきりしない作品であった。劉生はこれまで複製画であれほど感動を覚えたにもかかわらず、実作を見たら何ら感動を覚えなかった。もちろん劉生はこの絵を贋作だと鑑定したわけではない。むしろ自分はすでにゴッホを超えたと想ったのかもしれない。この「白樺美術館展」にはセザンヌの「帽子をかぶった自画像」(1890)も出品されていた。
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