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2012年4月11日 (水)

文字転倒の話

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 和田垣謙三編「哲学字彙」

    幕末、明治期の英学の移入に際して、2字の和製漢語が大量に生産された。「哲学」「科学」「政治」「現実」「義務」「困難」「時期」「需要」「成果」「妥当」「熱心」「必要」「理想」「民法」など現代語としてそのまま使われている語も多くある。すでに中国語として存在している場合、そのまま借用したものもあるし、文字を転倒したと考えられる語もある。

   たとえば、中国語では相互に援助することを「互相」というが、日本では「相互」である。「肉筋」は「筋肉」、「和平」は「平和」である。「行旅」は「旅行」であるが、なぜか「行旅死亡人」という日本語はある。「行旅」とは、路上生活のような住所不定な人など、いわゆる浮浪者のこと。「行旅死亡人」とは身元不明死体のことである。

このほか文字転倒例として、次の熟語がある。

命運→運命、語言→言語、欺詐→詐欺、介紹→紹介、会面→面会、滅絶→絶滅、護養→養護、日期→期日、痛苦→苦痛、熱情→情熱、戦敗→敗戦、士兵→兵士、半夜→夜半、限制→制限。

   これは中国語ではSVOだが、日本語では目的語を動詞の前に置く、SOVが基本だからである。明治14年に刊行された「哲学字彙」はイギリスのウィリアム・フレミングの「哲学字典」をもとにした術語集であるが、中国語から借用したときは、文字を転倒されていることが多くみられる。

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