「若い」という字は「苦しい」字に似てるわ
大阪、東京にあるホームレスのための自立支援センターで、20~30代の入所者がリーマン・ショック前後から急増している。いま若者たちが働く意欲があるのになかなか定職に就けない。下流社会、フリター、ニートなどという言葉は数年前から聞いてはいたが、日本の現実は想像以上に厳しいものらしい。新卒者も「金の卵」といわれたのも昔の話。新卒者でもまだ就職先が決まらない人が多数いる。自宅待機になるのだろうか。ケペルの若い頃、昭和40年代半ばはまだよかった。新聞の求人欄にはいつでも雇用があり、えり好みしなければだれでも正社員になることは簡単だった。これはいまの社会制度とも関係するだろう。今年も団塊の世代が大量に退職するが、実はそのうちの大半はなんらなか形で残る人が多い。退職金をもらって、また週4日くらいの勤務で数年間勤めつづける制度である。年金との関係でこのような制度が生まれたのであるが、若い人たちにはまことに残酷な制度である。誰でも知っていることであるが、人生の先輩たちが自分たちの都合のように仕組みをこさえて、若者達の現実に目をそむけている大人たちのなんと多いことか。まるで「罪と罰」の帝政ロシア末期の社会みたいで、これではラスコリーニコフが現われても仕方ないだろう。政治家や企業家たちは老人になっても安穏な生活が補償され、これから長い人生をスタートする若者たちは何の貯えもなく社会の大海原に放り投げ出さたのである。溺れてもかまわないというのだろうか。もちろん一部の学校を卒業してレールに乗った若者もいるだろう。しかし、そのような恵まれた若者だけが将来日本の中枢にいて活力ある社会が生まれるだろうか。敗戦後日本国民はみんなゼロからスタートして新しい国をつくった。若者が希望をもてるような元気な国でなければ日本の将来はない。
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