中世の町ヴェローナ
アドリア海に臨むヴェネツィアから内陸を西へ行くとシェークスピアの『ロミオとジュリエット』で名高いヴェローナがある。古代ローマ帝国時代にあっては北への軍事上の前哨地として重要な役割を果たし、その名残を今なお町中に数多く残る闘技場や劇場をはじめとする古代の遺跡にとどめている。
中世においてもロンバルディアとフランスを、あるいはボローニャとアルプス以北の諸都市とを結ぶ交通上の接点として、ヨーロッパ各地のさまざまな文化を享受できる恵まれた地理的位置にあった。
こうした条件のもとに、13世紀末から14世紀末までの約1世紀の間ヴェローナを支配したスカラ家は、ローマ時代からの町の領域を広げ、14世紀に入ってからは町全体を塔、邸館、城館などで飾り、ダンテやジョットを招いて洗練された宮廷文化を培い、中世からルネサンスへ向かうヴェローナ美術の発展のための土壌を用意したのである。
ジョットの革新的な芸術はパドヴァとはわずかな距離しか隔たっていないヴェローナにも及んだ。ヴェローナ絵画の創始者とされるのはアルティキエーロである。1400年前後から半ばにかけてヴェローナで活躍した画家はステーファノ・ダ・ヴェローナである。アントニオ・ピサーノ(1395~1450ころ)は傑作「聖エウスタキウスの幻想」(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)「聖ゲオルギウス伝」(サンタナスターシア聖堂)がある。
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