タクシーに乗る幽霊
車が高速で移動するかぎり事故はつきものである。そして事故を避けたいという人間の心理は、現代人に神頼みをもさせる。成田山のお札はどの車にもぶらさがっている。さらに、さりげなく吊っているミラーマスコットの類もそれなりの意味あいがあるらしい。
慶応大学の名物教授だった池田弥三郎はタクシーがなぜ小さなマスコットをぶらさげるようになったのかについて2つの理由を述べている。第1の理由は、幽霊の自動車よけのためであり、第2の理由は、深夜に巷を流していて、うっかり幽霊に乗り込まれぬための魔除けがもとだという。無人の自動車(幽霊自動車)を幻覚する者の多かったのは昭和5、6年ごろで、この無人自動車に出会った運転手は、かならず二、三日中に思いがけない事故にあうので、誰からとなく魔除けを下げるようになったと池田は言う。
タクシーが幽霊に乗りこまれた話を池田はしている。あるタクシーが青山墓地から横浜まで黄八丈姿の娘を乗せ、例によって「持ち合わせが無いから待ってくれ」で自宅へはいったまま出てこない。運転手が案内を乞うと、その娘は数日前に死んで、きょう青山墓地へ埋骨した、その娘の生前の姿形、年かっこうがそっくりだったという。
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