リメイク作品はオリジナルを超えられるか?
市川崑や木下恵介が晩年、自らの作品をカラーで再映画化した。なぜ大監督は再映画化したがるのかその心理はよくわからない。リメイク作品がオリジナルより良いという例はほとんどない。アクションや特撮ものであれば技術の向上により面白い作品に仕上がるケースはある。しかし小津安二郎などの名作をリメイクすることは、かなり冒険に近いことである。山田洋次はここ数年、小津作品に関心を示している。既に舞台の演出で「麦秋」「東京物語」を手がけてきた。そして「東京物語」をモチーフに、舞台を現代に移し、家族の在り方を描く「東京家族」の制作を発表している。映画「東京物語」は世界の映画監督が選んだ「最も優れた映画」の第1位に選ばれた作品である。英国BBCは「その技術を完璧の域に高め、家族と時間と喪失に関する非常に普遍的な映画をつく上げた」と評価した。
小津作品のリメイクには高いハードルがあるだろう。当初予定していた主演演級の菅原文太、市原悦子、室井滋らは降板するという異例の事態となった。そして小津作品リメイクに対して「天を恐れぬ所業」(河谷史夫)との批判も噴出した。映画は観てから批判すべきだと思うのだが、なにやら暗雲がただよう。芸術は既成の名作を破壊して新しいものを創造していくことに真価があるとおもうのだが、80歳を過ぎた巨匠にはやはり過去をよりどころにするしかないのであろう。映画界も話題性と安全性とでリメイク映画が生れるのだろうか。文太との意見相違の真相も知りたいところである。
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