切手に描かれたナポレオンも痒いの?
切手の肖像で誰が最も多いのだろうか?おそらくナポレオン・ボナパルトはベストテンに入るのではないだろうか。なかには1971年にセネガルの発行した切手のように、あまりナポレオンに似ていないものもある。だが腹部に手を差し入れる得意のポーズをしているのでそれらしい雰囲気がある。
ナポレオンが腹部に手を差し入れているのは、実は水虫(体部白癬)のため」という説がある。新感覚派の小説家・横光利一の短編に「ナポレオンと田虫」という作品があるが、水虫のように足だけでなく、手、股、腹部なども白癬菌が移っていたらしい。世界中の切手の肖像も手を差し入れたポーズのものは多い。
1809年、ナポレオンは、世継ぎをえるためと、政略のためジョゼフィーヌ(1763-1814)と離別し、翌年、ハプスブルク家のマリールイーズ(1791-1847)と結婚した。ナポレオンはこの腹にできた醜い田虫のことを美しい新妻に知られたくなかった。にもかかわらず、ある暑い晩に、いつもの田虫のかゆさが絶頂に達した時に起こる発作が起きたことから、それを知られてしまった。そこでナポレオンはその名誉回復のため、1812年夏、無謀なロシア遠征を企てた。容易に征服し得ない田虫に対する怒りにかきたてられていたナポレオンの征服意欲が、皇女への見栄や恥とからんで、筋ちがいの、しかも強引すぎた征服的行動となった。ナポレオンほどの英雄でも、腹の上にはびこる田虫を征服しきれず、かえってこれにあやつられてしまったみじめな傀儡に過ぎないというのが、横光の小説の粗筋である。
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