いま、なぜ由紀さおりなのか?
昨年発売された由紀さおり&ビンク・マルティーニのCD「1969」が海外のチャートで上位を記録しているという。これまで幾多の日本人シンガーが米進出に挑戦して失敗した。英語の壁のようなものがあると諦めていた。しかしむしろ逆で、美しい日本語ならば、言葉がわならなくても、その情景が浮かび、感動を与える。12曲の選曲をみると、かなりバラエティーに富んでいる。「ブルー・ライト・ヨコハマ」「夕月」のような歌謡曲、「パフ」のような誰もが知っているフォークソング、「さらば夏の日」のようなスクリーン・ミュージック、そして由紀さおりの代表曲「夜明けのスキャット」。これは世界の人が日本の曲でどのようなジャンルが好まれるのか、実験的な試みの第一歩ではないだろうか。これまで宇多田ヒカルのようなJ-POPでないとダメという固定観念があったようだ。むしろ日本の楽曲に自信と誇りをもって、日本語で歌うことのほうが、ハートが伝わるのではないだろうか。シャンソン「枯葉」やカンツォーネ「ヴォラーレ」が世界中に広まったのはアメリカ人が発見したからである。日本の名曲を美しい言葉で世界に伝えよう。
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