全裸のゴダイヴァ夫人
中世イギリスの領主レオフリックは強欲で、領有する町に重税を課そうとした。夫人のゴダイヴァは信心の篤い聖い心の持主で、重税を思いとどまるように幾たびも説得した。が、レオフリックはいっこうに取り合おうとしない。あまつさえ戯れに、「もし、お前が全裸で町中をねりまわったら、税は免じてやろう」といった。夫人は髪を解きほぐし、馬にまたがり、裸で町を完走した。町の人々は、自分たちのためにあえて恥をしのんで犠牲になった夫人に深く感謝して、誰も通りに出ずに、夫人を見ようとしなかった。だが、トムという好色な仕立て屋は、深窓の貴婦人の裸身が見たくて、ひそかに覗き見しようとした。すると、どうしたことか、仕立て屋が目的を達する前にめしいてしまって、夫人の裸を見ることができなかった。イギリスでは出歯亀のことをピーピング・トム(Peeping Tom)という。欧米では、増税反対のためにスキンカラーのボディスーツをまとった女性が白馬にまたがり、ねり歩くパフォーマンスが行なわれることがある。
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