ハンガリーの切手から世界史が見える
切手の図案は念入りにデザインされるもの。しかし、日本を描いた外国切手にはおかしなものもある。ハンガリーが1960年12月に発行した「世界の童話切手」のうち1枚にmomotaro(モモタロウ)という切手がある。われわれが知っている「桃太郎」は、桃から生れた桃太郎が、犬・猿・雉を連れて鬼ヶ島の鬼を退治するという話だ。ところが、ハンガリーの切手の図案にはそうした情景が描かれていない。中央に描かれているのは芸者、あるいは花魁ふうの若い女性である。女性の手の上に乗っている小人が、生れたばかりの桃太郎であるとすれば、服を着ているのは不自然であるし、なにより、桃太郎が入っていた桃がどこにも見当たらない。おじいさんの姿も見当たらない。この図案は「お椀の船」こそないが、一寸法師の話を図案化したものに近い。つまりデザイナーは桃太郎と一寸法師の話を混同したのではないだろうか。東西冷戦下の1960年、東側陣営のハンガリーがなぜ日本に関心を寄せたのだろうか?日本の安保闘争を反米運動として捉え、日本に親近感を抱いてという説もある。1940年に日・独・伊三国同盟に加わり、敗戦国になったということもあるだろう。しかし、根本にハンガリー人は自分たちのことをマジャル人と呼び、アジア民族であることを忘れていないのが日本に好意的な理由の一つだろう。
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検索でやってきました。うちも切手のブログなのでよろしければ遊びに来てください。
投稿: 世界の切手@net | 2012年7月 3日 (火) 21時47分
世界の切手@net。充実したブログですね。一枚の切手から歴史と文化が分かり、興味が広がります。拡大した画像で仔細に分析すると新発見があるかも。
投稿: ケペル | 2012年7月 4日 (水) 15時40分