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2012年2月 5日 (日)

歴史は繰り返す

   高校世界史は世代によって学習した範囲が大きく異なる学問である。ケペルはベトナム戦争は現在進行形だったが、今の高校生は湾岸戦争は20年も前の出来事である。現代史は若い人には理解するには難しいだろう。否、年配者にとっても国際政治は難しい。新聞で時代を読むことは有益であるが、時代の雰囲気に流される危険もある。明治の日清・日露の時代から、昭和の大東亜戦争の時代まで、新聞が正しく報道したであろうか。いつの時代も政治家やマスメディアは自国にとって好ましくない国家に「悪」のレッテルを貼る。枝野幸男が講演で「悪しき隣人」と中国を批判した。冷戦終結後、リビア、イラン、イラク、北朝鮮を「rogue state」(ならず者国家)と呼んだことを想起させる。米国にとり好ましくない国家に道義的な「悪」のイメージを国民に与える機能を果たしている。政治家やマスメディアが「悪しき隣人」とか「ならず者国家」とキャンペーンするときは、国民は注意深く世界史から学ぶべきである。

   1990年8月イラクがクウェートに侵入し、占領したが、翌年1月、国連の決議を受けて、アメリカを主力とする多国籍軍がイラクを攻撃した。日本は世界中で最高額の130億ドルの戦費を支出している。アメリカの圧倒的武力で勝利したもののサダム・フセイン(1937-2006)の体制は依然と存続した。今度は大量破壊兵器の査察をめぐって米・英軍は攻撃し(2003年3月~5月)、政権は崩壊してフセインは消息不明となった。2003年12月、米軍がフセインを逮捕。裁判によって2006年12月、処刑した。だが、湾岸戦争開戦の口実とされた「大量破壊兵器の保有」については、のち、その事実はないと国際的に確認されている。イラク戦争に米英の大義はなかった。日本政府が拠出した戦費についても反省や批判など公的な検証作業はされていない。歴史はたえず動いているので過去を反省している暇はないのかもしれない。しかし歴史は繰り返すともいう。アメリカがベトナム戦争でした過ちを再び湾岸戦争で繰り替えしたように、中国や北朝鮮を敵対視することをマスメディアが煽ることが再び繰り返されようとしている。そして政治家は国民の支持率の低下を恐れる。支持率を上げるには、強硬な姿勢にでることである。ホラズム海峡ではイラン・米国が衝突している。

「History repeats itself.」(トゥキディデス) 世界史を学ばず、愚行が繰り返されることが恐ろしい。

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