平清盛の人気挽回なるか?
日本歴史上、平清盛ほど誤解されている人物は、他にないかもしれない。多くの人の清盛のイメージは軍記物「平家物語」に描かれた悪逆無道の男である。近年の歴史研究では、これまでの文学作品の虚像を見直し、評価が変わりつつある。貴族の時代から武士の時代へと転換させた歴史的な役割や、大輪田泊を改修して日宋貿易をすすめ、日本経済の繁栄を計画した。渡宋する日本の商船が増加したため、宋が制限を加えたほどであった。人物としても部下思いのやさしい一面があった。「十訓抄」によれば、清盛は家来の中にあまり面白くない冗談を言う者がいても、さも面白そうに聞いてあげたという。また清盛はとるに足らないような身分の低い家来に対しても、人の前では恥をかかせないように一人前の家来として扱ったという。
兵庫県知事はツーリズムによる経済効果をもくろむあまり、再三の大河ドラマ批判に固執している。過去にも時代小説家が清盛を題材に成功した例はあまり知らず、清盛人気が沸騰するのは至難と思える。
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