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2011年12月24日 (土)

家族の絆

    年末になると歌番組を見る。福山雅治の「家族になろうよ」。ギターの弾き語りで甘く囁くように歌う。上手い。私が女性だったら、もっとシビレルだろうに。いま「家族の絆」が求められている。ぶっつけ本番の旅番組「鶴瓶の家族に乾杯」、視聴率40%を越えた人気ドラマ「家政婦のミタ」、昨年のヒット曲「トイレの神様」、みんな家族をテーマとしている。だが現実の事件では、この「家族の絆」が逆に強いしがらみとなって家族のメンバーそれぞれの個としての自立した歩みを妨げる足かせとなってしまうことが多い。続発する親の児童虐待、家族による高齢者虐待にも、その家族の状況には、近所の人たちとの希薄な人間関係、社会的に孤立しているという点で共通している。

    むかしは親子の肉親の関係や、夫婦の契りの結束は当たり前なので「家族の絆」という人はいなかった。むしろ封建的なシガラミを断ち切ることが人生のテーマであった。現代社会は社会全体の人間関係が希薄なので、家族の結合の強化を求める傾向にある。夫は夜、盛り場で飲むことはなく、まっすぐ家に帰るし、週休二日で家族と過ごす時間も多い。傍目には幸せに見える家族も価値観の多様化からバラバラであることもある。ある人が言った。「絆」とは「へその緒」だと。この世に生れてきた赤ちゃんは誰でも母体とつながれていたへその緒を断って初めて人間して成長していく。「絆」は断つべきものか、断たざるものか、それが問題だ。

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