カインの末裔
遅ればせながら李相日監督の映画「悪人」を見る。原作は吉田修一の芥川賞作品だけにテーマがしぼれている。最後で光代が「彼は悪人なんですよね」と呟くシーンが印象的。映画とは事件で作り手側が結論を押し付けるのではなく、観客がどのように感じるかが大事だろう。この映画などは観る人によって意見や感想が異なるだろう。やはり祐一のしたことは許せないとする人。世の中、誰が悪人なのか疑問を感じる人、さまざまであろう。殺人といえば人類史上初の殺人事件、カインが弟のアベルを殺したことを想起する。人間は愛されなかったり、自分を無視されたりすると、感情に走って、なにをしでかすかわからないものです。「隣人を自分のように愛しなさい」という掟に背いた祐一は、せっかく光代という素晴らしい女性にめぐり合いながら一緒になることができまんせん。祐一、光代、祖母、遺族たちの悲み、苦しみ、が伝わってくる映画です。
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