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2011年11月20日 (日)

藤代禎輔の漱石批判

Fujisiro
藤代禎輔(写真中央)

    藤代禎輔の「猫文士気焔録」(1906)に次のような一節がある。「此頃日本の文壇で夏目の猫と云うのが、恐ろしく幅を利かして居ると、今は天国に居る吾輩の耳にも聞こえてきた・・・(中略)但少し気に喰わぬのは、文筆を以て世に立つのは同族中己が元祖だと云わぬばかりの顔附きをして、百年も前に吾輩という大天才が独逸文壇の相場を狂はした事を、おくびにも出さない。若し知って居なら、先輩に対して礼を欠いている訳だ」

藤代禎輔(1868-1927)は漱石の友人でもあるドイツ文学者。ルートヴィヒ・ティークの「長靴を履いた牡猫」(1797)やエルンスト・ホフマンの「牡猫ムルの人生観」(1820-1822)などの作品をさす。猫を主人公として文明批評を展開するという風刺文学は、漱石の独創ではなく、西欧文学に伝統的にある手法であるといってよい。だが「吾輩は猫である」は明治の日本にはとても新鮮であったに違いない。

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