無料ブログはココログ

« 香港 過去・現在・未来 | トップページ | なぜかいま人気のツルダン鶴瓶 »

2011年10月17日 (月)

美食家ではない実篤

Img_889500_24847940_0

    最近はグルメブームで食通、美食家、健啖家がもてはやされるらしい。漫画「美味しんぼ」(海原雄山は陶芸家の北大路魯山人がモデルらしい) あたりからブームになったのだろうか。いまや世間でも美食を競っている。「作家の食卓」(平凡社)では、立原正秋、石川淳、永井荷風、壇一雄、色川武夫、内田百閒、谷崎潤一郎、吉田健一、池波正太郎、開高健などの美食が紹介されている。

   ところが、作家すべて美食家かというと、そうでもないらしい。嵐山光三郎によれば、武者小路実篤(1885-1976)は味音痴だそうだ。家族が、これならと思う美味しいものをすすめると、「くえる」というのがほめ言葉だった。食通の梅原龍三郎に中華料理をごちそうになり、味はどうだったか訊かれたとき、実篤は「やわらかかった」と言ったという。独特の画風で知られる実篤の野菜の絵も、生命力はあるが、そこに食欲はなく、ひたすら観察があるだけである。嵐山は「それは実篤が公家の出で、はかない味を好んだためだという」そして「明治の公家の食卓はつつましいものであった」という。そういえば実篤の小説には食べ物の描写はほとんどないと記憶する。楽天的で無頓着なところが実篤の魅力なのかも知れない。実篤は昭和51年4月9日、尿毒症で90歳で亡くなっている。(参考:嵐山光三郎「文人暴食」)

« 香港 過去・現在・未来 | トップページ | なぜかいま人気のツルダン鶴瓶 »

「日本文学」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 香港 過去・現在・未来 | トップページ | なぜかいま人気のツルダン鶴瓶 »

最近のトラックバック

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31