「緑の地平線」と少女小説
なぜか忘れぬ人ゆえに
涙かくして 踊る夜は
ぬれし瞳に すすり泣く
リラの花さえ 懐かしや
楠木繁夫の「緑の地平線」(昭和10年)である。映画主題歌であるが映画は未見。原作は横山美智子(1895-1986)であるが絶版。思えば吉屋信子(1896-1973)が大正5年に「花物語」で人気作家となって以来、戦前戦後は少女小説の全盛期であった。北川千代、森田たま、水島あやめ、城夏子、三木澄子、大谷藤子、由利聖子、堤千代が登場した。堤は昭和15年「小指」で直木賞を受賞している。これは女性初の直木賞であり、22歳10ヵ月の受賞年齢は、現在でも最年少記録である。病弱の身ながも夫の支えにより、昭和20年代に多くの作品を残している。
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