速読、遅読と食事
読書にとってよい季節となった。阪本一郎(1904-1989)の「速読のすすめ」(1969年)という本が手元にある。アメリカで速読術のブームが起きて、日本にもサラリーマン向けの速読法の本が出たしたのは1960年代になってからだろう。馬淵時彦・藤田拓司「速読術」(1962年)、佐藤泰正「速読法」(1969年)。阪本一郎の本には「速読法などと言うと、軽べつする人がある。そのために精確度が落ちるという先入観をいだいている人である。たしかに速度と確度とが反比例する事実はある。しかしそれは不熟練者の層においてであって、やや熟練した読者層以上にあっては、両者はあいいれないものではないのである」とある。面白いのは食堂での話。職員食堂で、阪本は軍隊で鍛えられていたほうだから、食事は早い。あっという間に平げてしまう。あとは、タバコをふかしながら、めいめいの食べ癖を観察する。食事にも無くて七癖。読書にも悪い癖があるという話。これは40年以上の前の本である。いまは食事は腹八分目で、ゆっくりとよく噛んで食べるのがよいとされている。糖尿病の予防と治療にも効果がある。読書と食事とは無関係なのか、関係するのか、それが問題だ。
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