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2011年8月 6日 (土)

名声とは誤解の総括にすぎない

    猫も杓子も「なでしこ」ブームである。暗い世相に降って沸いた世界一。あまり日本のことを称賛しない中国や韓国までもが「アジア初の栄誉」と大絶賛。そして菅首相も「私もあきらめない」と「なでしこブーム」に便乗して国民栄誉賞を団体でも与えることに決定した。だが日本人は生来、忘れやすいしあきっぽい国民性である。世の中みんな神輿を担いでないと気がすまないが、来年の国際大会でもし惨敗すれば、過剰に期待した国民はどのような反応をみせるのだろうか。

  スポーツの世界は勝ち負けで白黒がはっきりしている。ノーベル文学賞のように言語の異なる文学作品から優れたものが選ばれる賞など優劣は不透明であろう。「怒りの葡萄」で知られるスタインベックは社会的リアリストとして名声を博したが、受賞後は創作活動は低下した。川端康成の自殺の真相は謎であるが、ノーベル賞の負担が一因にあると否定できない。大江健三郎は受賞前にみられたような旺盛な創作力はいちじるしく衰えた。あのトルストイがノーベル賞を受賞しなかったことは、いまとなっては喜びであろう。ホメロスやダンテやシェークスピア、ゲーテなどと並ぶ世界文学の巨星となっている。ノーベル賞作家××と絶えず冠が付くこともない。鴎外や漱石も文豪と冠がつくだけでいい。世俗の賞は偉大な人には迷惑だろう。「名声とは誤解の総括にすぎない」とは詩人リルケの名言である。オリンピックの金メダリストがさらに国民栄誉賞を与えられることなども冠に冠を載せるようなものだ。過大な称賛がその人を幸福にするとは限らない。

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