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2011年8月 2日 (火)

韓流ブーム批判に関して

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  俳優の高岡蒼甫が韓国ドラマばかり流しているフジテレビへ批判したことの是非が話題になっている。「ここはどこの国だよ」発言を見ると、考えの基本は素朴な愛国心なのだろうか。しかし社会的に影響力のある有名人やタレントの発言は大きな責任がともなう。これに対して「好まない人は見なければいいだけの話」という醒めた意見もある。しかし長い間「近くて遠い国」といわれてきた朝鮮半島をめぐる情勢が、ドラマや音楽といった芸能娯楽コンテンツにしろ、豊富に観ることができるというのは、長く渇望していた世代にとっては歓迎すべきことである。2本の恋愛映画を観たが、そこにはやはり韓国の現代史が刻まれていた。「ラブストーリー」(2003)は女子大生ジヘ(ソン・イエジン)が偶然に母親ジュヒの秘密の箱を見つける。そこに入っていたのは35年前の日記帳と手紙。ジュヒの恋人はベトナム戦争へ行く。もう1本は「リメンバー・ミー」(2000)。女子大生ソウン(キム・ハヌル)は、古い無線機を発見する。そして1979年の時代のインという男性と交信する。当時は朴正熙大統領暗殺、1980年の光州事件という時代だった。過去と現代との運命的なつながりをテーマにしている点において2作品は共通している。1965年はアメリカがベトナムに直接介入した年であったし、日本では「ベ平連」という市民運動も起こった。しかしノンポリ学生だった自分はベトナム戦争も光州事件も知らなかった。ベトナムへの米派兵数54万人、韓国も30万人以上いるといわれる。そしてこの戦争で約5000人の韓国人が死んでいる。映画は、さまざまな国や違う時代に生きた人間の体験を語っていると感ずる。

   しかし2チャネルでデモ行進を呼びかけたところ、8月7日、フジテレビの韓流偏重に抗議する500人の無許可デモが東京お台場で起きた。片山さつき議員や田母神俊雄など著名人たちのなかにも共感を示す人が現れた。「韓流フジ潰れろ」「朝鮮人は半島に帰れ」などヒドイ声も飛び交ったという。日の丸を掲げ、君が代を合唱する若い偏狭な愛国主義者たちの右傾化に不安を感ずる。デモには子供たちも大勢いたが、もし騒乱が起こり巻き添えになって怪我人が出たとしたら、主催者や高岡らはどう責任をとるのか。このデモ行進に参加した人たちの思想的には幼稚な部分がある。誰かが言っていた。「一番右寄りなフジTVが右の人から一番非難されまくるという喜劇」と。韓国人を攻撃して愛国心を高めようとする方法は、ヒトラーがユダヤ人を虐殺して民族高揚を図ることと同一である。

 

 

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