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2011年5月21日 (土)

ロックは本当に無責任な人なのか

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  高校の倫理社会という科目はなかなか内容が濃い分野である。デカルト、ロック、ルソー、カント、ヘーゲル、キルケゴール、ニーチェ、ヤスパースなど先哲の思想を1年で習得することは実際には無理だろう。だが民主的な国家・社会において、自主的な人格の形成には有益だと思う。とくにロックの著書は重要ではあるが、学問的で一般者には縁遠い。数学者の藤原正彦は『国家の品格』の「大思想家ロックの無責任発言」という章で「(ロックは)個人は自由に快楽を追求してよい。全能の神が社会に調和をもたらしてくれるから、と述べました。何と無責任でデタラメな発言でしょう。ロックこそは、自由主義、功利主義、近代主義の祖と呼んでも過言ではない人です」とロックを全否定している。なるほど国家を強調するためには自由の祖であるロックを叩く必要があるわけである。(藤原は品格をいう割りには品格のない文体である)ロックはおよそ300年も昔の人であるし、キリスト教社会の状況下で書かれた文章をどれだけ正確に読み込む事ができるか、私には分からない。イギリス社会思想史の専門家が藤原の所見をどのように評価するのか知らないが、おそらくトンデモ本のたぐいであろう。そしてそれがベストセラーとなり、日本中の知識人といわれる人が感心して読んでいるから笑える。藤原正彦は数学の業績は知らないが、社会思想史に関する限り三流の学者である。

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