文庫本誕生100年
立川文庫で有名な立川熊次郎(1878-1932)は明治11年、姫路市勝原区宮田の農家に生まれた。父が米相場で失敗し、生活は苦しかった。幼少から製粉所で働き、小金を蓄えて大阪で商売をしたが失敗。姉のかじが岡本増次郎と結婚し、岡本が増進堂という赤本の取次業をした。その縁で熊次郎も明治33年、増進堂の社員となった。やがて明治37年、独立して立川文明堂を開業する。日本軍歌集が大いに売れた。そして講談師玉田玉秀斎との出会いによって、明治44年、立川文庫を産んだ。「水戸黄門」「猿飛佐助」「霧隠才蔵」などシリーズ形式で刊行、大正末期まで約200点出版した。1冊25銭(のちに30銭)、いわば文庫本のハシリが立川文庫で、今年は誕生100周年にあたる。池田蘭子の小説「女紋」に立川文庫誕生の経緯が書かれている。
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へえー。文庫本の歴史、立川文庫、実物を見てみたいなあ。
ケペル先生、いつもながらためになる話を、ありがとうございます。
理科年表の文庫本サイズを今年は買おうかと、気象データの平年値が十年ごとなので、理科年表は、十年ごとには買いなさい、買うといいよと習いました。
投稿: さぶろた | 2011年5月22日 (日) 20時48分