書名はシンプルがいい
最近の新書のタイトルはツッコミが入れたくなる。
「江戸の卵は1個400円!」それがどうしたの
「人生はうしろ向きに」前向きじゃダメなんですか
「9回裏無死1塁でバントはするな」バントはセオリーでしょ
「二畳で豊かに住む」ムリです
「認められたいの正体」だれも認められたいと願っているでしょ
「なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか」知ったことか
タイトルで気を惹こうとするのはわかるけど、何か変だぞ、出版界。知性とか品格が無くなってしまった。むかしはシンプルだけど、しみじみとした味わいと風格があった。
「こころ」夏目漱石
「春」島崎藤村
「学問のすすめ」福沢諭吉
「自然と人生」徳富蘆花
「事件」大岡昇平
「物理入門」砂川重信
「独裁者」ハルガルテン
「幸福論」ヒルティ
「エセー」モンテーニュ
「太平洋戦争」家永三郎
「戦争論」西谷修
「日本史概論」坂本太郎
「地中海」ブローデル
「ボリシェヴィキ革命」E・H・カー
「江戸歳時記」宮田登
「遠野物語」柳田国男
「武士道」新渡戸稲造
「イングランド金融罪悪史」クリストファー・ホリス
などなどの書名はそのものズバリ、直球勝負で気持ちがいい。いまの流行は「地団駄は島根で踏め」のように謎かけタイプで変化球だ。まるで映画のタイトル風のようだ。「舞踏会の手帖」「郵便配達は二度ベルを鳴らす」「日曜日には鼠を殺せ」などのように。
シンプルな書名が好きなのは、どうも若い時代、図書館で目録カードの記入を仕事にしていたせいだろう。ながい書名や変な書名は、主題がわからず分類するのも手間がかかる。良書を個人的に収集する目安としても、著者や出版社を参考にするのはもちろんだが、内容そのものがタイトルに短く表現されていれば、書き出したいテーマがしぼられていることであり、何度でも読みかえす価値のある本であるということである。
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キャッチコピーがそのまま題名になったのでしょうか。
そのうちに、テレビの推理サスペンション番組みたいな長い名前になるのかなあ。
岩波新書で赤や青の時だっか、漢字一文字シリーズがありました。
投稿: さぶろた | 2011年5月 2日 (月) 22時58分