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2011年4月22日 (金)

とんかつ大流行

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   日本人はむかしからトンカツが好きである。岡本かの子の「異国食餌抄」にこんな記述がある。

 

西洋にいても日本人はよくこのトンカツを食べたがる。ところがこのトンカツなるものが西洋の何処へ行っても一向見当らないので失望する人が多い。イギリスのレストランへ行ってメニュウを探して見るとポークカツレツというのがあるから、喜んで注文するとそれはわれわれが予期するカツレツではなくて日本の所謂ポークチャッブであった。(略)トンカツに巡り合わない日本人はようやくその代用品を見つけて、衣を着た肉の揚げ物に対する執着を充たすだけで我慢しなければならぬ。それは犢(こうし)の肉のカツレツである。フランスではコトレツ・ミラネーズと云い、ドイツではウィンナー・シュニッツレルと云う。

 

  もちろんトンカツは日本で創製されたもので、はじめ「ポークカツ」「ポークカッレツ」と呼んで洋食屋でだされていた。それに生キャベツの千切りを付合わせにするのは明治37年から。昭和7年に、上野の「楽天」で「とんかつ」という呼び名に変えたら大流行した。浅草の「喜多八」でもほぼ同時に「とんかつ」と呼び始めた。ネーミングの成功によって日本にとんかつ屋ブームが起った。

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コメント

フランス料理のコートレットが輸入されて間もない時期に、日本人はカツレツを自らの食文化としてしっかりと根付かせていたと言うことですね。
きめの粗いパン粉は日本独自のものらしく、諸外国でもPankoとして本来のパン粉とは別物扱いをされていると聞いたことがあります。
また料理そのものだけでなく、「とんかつ」というネーミングは実にうまい。ポークなんてしゃらくさい表現は捨てて、さらに「かつ」まで平仮名表記とするなんて、さすが日本人の心を捕らえてやまない料理だけのことはあります。
さらには、それを丼にした「かつ丼」なるものの存在は、日本人の色に対する貪欲さの現われなのかなとも思います。
フランス人にも、かつ丼食べさせてやりたいものですね。

いつもご覧くださりましてありがとうございます。語源や事物起源をいろいろ調べています。外食するとき、「さぼてん」というトンカツ屋によく行きます。すりごまソースで食べます。イタリアに旅行した人がナポリタンを注文したが無かったという話を聞きますが、ハヤシライス、とんかつ、ナポリタンは和製洋食文化の真髄ですね。

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