クールベの客観表現
ギュスターヴ・クールベ(1819-1877)は、フランスの片田舎フランシュ・コンテの富裕な農家に生まれた。1839年に、彼は画家になるために単身パリにでてきたが、学校には通わず、ルーブルで南仏バロック派の画家の作品にふれて、独学で修行した。生来田舎者で野人であった彼は、後期古典主義や、ロマン主義の非現実的な芸術に本能的な嫌悪感を抱いて、現実を客観的に把握することを目的として、リアリズムの手法を絵画に取り入れた。この彼の客観表現に徹する意識は、絵画の形体や、色彩の本質的な追求、絵画の純化にまで発展し、印象派や次代の画家に多大な影響を与えた。彼の絵画は、ロマン派や古典派の表現では表わせない自己主張の強さは社会活動にまで発展し、官憲と対立したり、政治運動にまきこまれたりして、彼の生涯は波瀾にとんだものだった。後年、共和派として活躍し、パリ・コミューンのヴァンドーム広場記念柱解体事件に連座して、スイスへ亡命し、かの地で客死した。
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