女性言葉の衰退
「雨だわ」は女性的な言い方、「雨だぜ」は男性的な言い方のように感じる。明治時代に若い女性の間には、「てよだわ言葉」が流行した。「よくってよ」とか「嫌だわ」とか普通に使われていたが、現在ではあまり聞かれることはない。「遊びじゃないことよ」のような「こと」も衰退し、現在ではほとんどみられない。昭和の歌謡曲には女性特有の言葉がよく使われていた。「困っちやうわ」(山本リンダ)「何でもないわ」(園まり)「ほんきかしら」(島倉千代子)「困るのことヨ」(都はるみ)「愛して愛して愛しちゃったのよ」(マヒナスターズ)「待つわ」(あみん)とくに終助詞「わ」を付加する歌が多い。近い将来「だわ言葉」も完全に用いられなくなるかもしれない。かわりに「かも言葉」が若い女性の間には用いられている。「それ、いいかも」と断定をさけて、やわらかくする物の言い方が好まれてきているようである。
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女性語の衰退に反して男性語の女性化を感じることも少なくありませんね。「~なのよ」と言うような表現をごく普通に使う男性がいます(美輪明宏やマツコ・デラックスのことではありません)。
さらに「~してあげる」の濫用に至っては、男女を問わず目に余る感があります。「汚れたら乾いた布で軽くこすってあげると・・・」なんて、おじさんに言われるとぞぞっとするのは私だけでしょうか(ちなみに私もおじさんですが)。
投稿: フレディ | 2011年4月 9日 (土) 22時56分
コメントありがとうございます。若い世代では言葉の男女差が少なくなっているようです。草食男子が増えたことも理由の一つでしょうが、人間関係の複雑さから、終助詞「ぞ」「ぜ」はぞんざいな印象を与えるので使用をさける、また助動詞「だ」を使わないで、断定的な言い方を避けるという傾向がみられます。テレビなどでも政治家や解説者も丁寧な物言いに心がけているようにみられます。
投稿: ケペル | 2011年4月10日 (日) 06時09分