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2011年4月 9日 (土)

吉田兼好の実存主義

    徒然草に牛売りの話がある。牛を売る者が代金を明日受け取る前に、牛が死んでしまった。牛売りは損をしたと考えるが、ある者は、決してそれは損ではなく牛売りは1日生きのびたのであるから得をしたのだと言う。たとえ牛が生きていてもその牛の持ち主が死んでしまえば、それこそ大損である。1日を生きていることの喜び、悲しみ、そして生の尊厳と重さというものをわれわれは十分に考えなければならない。このような吉田兼好の考えは現代文学が追求しているものの一つにある、「死からの自由」という主題に共通性がみられる。ドストエフスキー、サルトルなどの実存主義の文学が追求しているものは、「真の自由とは何か」ということである。それは、名利からの自由であり、究極的に死からの自由でもある。兼好は東洋的な考えかたで「死からの自由」というテーマに肉迫している。

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