フェイディアスとミュロンの謎
古代ギリシアの彫刻「円盤投げ」の公開が始まるが、謎の多い作品である。古代ギリシアの彫刻家たちは、ペイディアス(前490年-前430年)、ミュロン(前480-前445)、ポリュクレイトス(前5世紀-前4世紀初頭)らの名前が伝えられる。多くはそのオリジナルが失われたものの、わずかに残されたブロンズ製のオリジナルがフェイディアス(ペイディアス)の「円盤投げの男」である。この彫刻はドイツのグリュプトテーク古代彫刻美術館に所蔵されるものであるが、これをミュロンの作とする記述もみられる。とすれば今回展示される大英博物館のディスコボロス(ローマ時代のレプリカ)とどのような関係にあるのだろうか。
以下、ミュロンの「円盤投げ」は原型は失われて、現在あるのはローマ時代の大理石の模倣品である。ミュロンの「円盤投げ」のポーズには数種類あり、いずれが真正なのかは判明できない。またフェイディアスの作品との類似性にも疑問が残る。
ある業者がブロンズ製「円盤投げ」を販売しようとしたところ、訴訟となったが商標法第4条第1項第7号(公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標)に該当しないという審決があった。(2009.6.01)
「円盤投げ」はローマ国立博物館にあるランチェロッティ旧蔵の像をはじめ、アテネ国立美術館、ミュンヘン・グリプトテーク古代彫刻美術館、プーシキン美術館、大英博物館にある。わが国にも長野市、東京都府中市および国立競技場に展示されている。
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