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2011年3月 9日 (水)

貸し出し控えるのか、貸し出しするのか、それが問題だ

   いま全国の図書館員がハムレットのように悩んでいる問題が一つある。「貸出すべきか、貸出を控えるべきか、それが問題だ」

  作家の樋口毅宏が新刊「雑司ヶ谷R.I.P.」で「公共図書館みなまさへ この本は、著作者の希望により2011年8月25日まで、貸し出しを猶予していただくようお願い申し上げます」と巻末に著作者の意思を示している。これを受けて図書館の処置はどうするのだろうか。普通ならば2月の新刊であるから、もう貸し出されている頃で、ウェブ上、貸出中と表示されるはずである。人口20万人以上の都市の公共図書館であれば、新潮社の文芸書ならばふつう購入するはずである。何らかの図書館側の判断で保留にしているのか、問題のある本は買わないでおこうとする自己規制が作用して購入をみあわせているのかもしれない。この現象は各蔵書検索を丹念に調べれば、図書館の姿勢がみえてくる。

    兵庫県内図書館横断検索で調べると、姫路市、相生市、洲本市の3館で貸出中と表示された。全体からみると極めて少ない。全国の有名図書館を調べてみよう。日野市立図書館、仙台市図書館は貸出中とある。文京、目黒、品川、江東の区立図書館は貸出中とある。東京都立中央図書館、横浜市立図書館は準備中と表示された。川崎市立図書館は準備中で予約3件とでた。横須賀市立図書館は発注済みと表示され予約1件。大阪市立図書館、名古屋市図書館、浦安市立図書館はヒットしない。協議中なのだろうか。蔵書検索で出ないのは、いまはネット予約されないためであろうか。これまでにない問題なので各図書館の対応には悩ましいものがある。対応は各図書館の判断に委ねられているが、現在のところは統一見解はなくバラバラの状態である。背景には、なんでも予約ですませようとした利用者にもあるだろう。いわゆる公共図書館のベストセラー問題や複本問題とも大きくかかわる重要な提起がされたように思う。図書館側の意見が聞きたい。結論をイタズラに先延ばしすることは市民の図書館に対する不信感を招くことになるのである。

   話はそれるかもしれないが、通常、図書館は新刊がでた時点でMARC(マーク)と呼ばれる図書データが送信されてきて、そこから発注する。つまり一端買う時期を逃すと、半年先に購入するという確率は低下する。作家にとっては公共図書館の購入率が低下することもあるので、図書館に貸出の据え置きお願いすることは、買え控えをお願いしていることになり、捨て身の覚悟でのぞまなければならない。刊行された時点で購入して本を寝かせておくとか、禁帯扱いするところはまずないだろう。やはり作家にとってメリットは少ないように思う。どんなスタイルにせよ、読者に本を提供したほうがよいと思う。

    現時点では図書館は準備中として様子ながめをしているようであるが、「図書館は資料提供の自由を有する」と国民に宣言している限り、予約がでたら提供する責務があると考える。いま、著者の意思を尊重するのか、国民の知る権利を保障するのか、二者選択を迫られている。

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