森林と文明
地球にある陸地の生物界の95%は、植物が占めている。植物界を構成する最も有力なものは樹木である。樹木が密生している所を森林という。森は古代文明の興隆を支えてきた。ギリシア文明の衰退の原因は森の破壊が一因とされる。日本の森林面積が国土面積に占める割合はまだまだ大きい。それは日本の伝統的な農村風景、里山の森がアニミズムの世界を守ったともいえる。南方熊楠の神社合祀・社林伐採の反対は環境保護の先駆ともいえる。邪馬台国卑弥呼の所在地として注目されている纏向遺跡。箸墓伝説ではヤマトモモソヒメが「箸で陰をついて」結果、死んだとされる。「箸」とは蛇で、陰とは女性の性器であることから、「蛇巫は現実に蛇と交合する真似事をした」ということであろうか。実は神社に祀られる注連縄は、交合する雄と雌の蛇を現しているといわれる。だが鉄器を伴った、蛇殺しの信仰が普及してくるようになる。蛇が退治されて、スキタイ文化の影響で鹿が聖獣とみなされるようになる。厳島神社、春日大社など、鹿を聖なる動物とする神社が出現する。近代文明も蛇と竜を殺す文明であった。新たな文明には自然と人間の共存なくしては、自らさえも生き残れないであろう。
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