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2011年3月 7日 (月)

土蔵美術館のカラクリ

    地方の小都市で比較的豊かな田園都市には、むかしながらの土蔵のあるお屋敷がよく目に付いたものである。土蔵の中には江戸時代から伝えられたお宝が眠っている。お宝鑑定団のブームをすぎて、やはり子孫は保存にもコストがかかるので地元の美術館に寄託として預かってもらうことにする人も多い。つまり公立の美術館の所蔵品には、寄贈品ではなくで、寄託品が多い。運営に問題があれば、返還請求をすることもできる。ほとんどの市民は美術館の所蔵品だと思っているが、実は市の一部の富裕層の資産を税金をかけて保管しているというわけである。美術館は文化のシンボルとて残してほしいと誰しも思うだろうが、種々雑多な骨董の類を多数収蔵している美術館が館蔵品を展示してみたところで、多数の入館者を呼び込めるような時代ではない。いま人気のある美術館というのは建築と展示するアートが一体となった異空間を表現できるようなデート・スポットである。村の庄屋の土蔵に眠っていたものが、価値あるものであっても、現代美術館してふさわしかは別問題の話である。土蔵美術館が現代美術館の衣装をまとっているのは滑稽でもあるし、税金をドブにすてるに等しいものである。

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