サルトルで眠れない
戦後、日本の知識人たちにサルトルは人気があった。実は私はいまだに実存主義というものがさっぱりわからない。「実存の本質は自由である」という。とにかく特定の主義・主張に依存せずに、真実の自己を実現しようとするものであるらしい。だが本家のサルトルはマルクス主義に傾き、ソ連を擁護した。その当時の雑誌「世界」の主張は、そのまんまである。そしてソ連の実態が悪であるとわかると、反スターリン主義をとる。今度は毛沢東の中共を支持。どうも思想家というものは、勝手な幻想を抱くもので、正確な実態を把握することは不得手とみえる。日本の進歩的知識人というものもだいたいサルトルと似たような軌跡をとるようにみえる。それでも過去の思想、発言の過ちを認めた人はいない。サルトルを心酔した世代ではないが、なんとなくブルジョワ的なものに嫌悪感をいだいていた。「サルトルで眠れない」という早瀬優香子の歌があるが、これも無内容な歌詞で、日本人のフランスへの幻想はいつまでもあるらしい。
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