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2011年2月16日 (水)

王安石「梅花」「石榴詩」

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    寒さの中で、どの花よりも先に春を伝えてくれる梅の花。明治19年に開園した熱海梅園は、日本一の早咲きの梅で知られる。今年も既に梅まつりが開かれているという。

          梅花           王安石

牆(かきね)の角(すみ)なる数枝の梅

寒を凌ぎて独り自ずから開く

遥かに知る 是れ雪ならざるを

暗香の有りて来るが為なり

    土塀の隅にある四、五本の梅が寒さにもめげず咲いている。遠くからみてもそれが雪が降ったのでないことがわかる。どこからともなくよい香りが漂ってくるからだ。

   王安石(1021-1086)は神宗の時、宰相に任ぜられ、改革を断行したが、あまりに急激すぎて反対にあい、ついに失敗してしまった。梅花を見て「凌寒」「独自」の二字に、王安石は心境を託したとみられる。

    王安石は色彩感覚に富んだ詩を残した人のようで、冬が白梅なら春は紅の石榴を歌っている。「万緑叢中一点紅。動人春色不須多」(「万緑叢中に紅一点あり。人を動かす春色は須らく多かるべからず)この句は王安石の詩「咏石榴詩」として人口に膾炙されたが、今日までに全編が残っていない。「事後文集」には「王直方詩話にいう。荊公(王安石)が内相となり、庭園内を散歩していたところ、ざくろが一叢あった。枝はよく茂り、わずかに紅の花がついていた。興を起した荊公はそこで、濃緑万枝に紅一点あり 人を動かす春色は須らく多かるべからず といったそうだが、自分は残念ながらまだその全文を読んでいない」とあり、かなり前から逸文となっていたようだ。

    今日の日本でも「紅一点」という漢語よく使われる。多くの男の中に混じってただ一人の女性を花にたとえて紅一点というようになった。紅一点の出所については「万緑叢中」「万緑枝頭」「濃緑万枝」などあり、王安石より以前の唐代の詩句の可能性もある。中村草田男の俳句「萬緑の中や吾子の歯生え初むる」の「萬緑」を王安石の詩句に由来するとしたのは山本健吉だそうだが、いささか無理なこじつけのように思える。麻雀の役満に「紅一点」があるそうだが、それは王安石の漢詩に由来するものであろう。

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